看護師が知っておきたい感染症対策

感染症には様々な種類があり、その特徴に応じた対策が必要です。たとえば、空気感染で広がる結核の患者などは、陰圧室に隔離しなければなりません。陰圧室は、空気が外部に漏れない設計となっており、患者は病室だけでなくトイレや入浴室も全て他の患者と共有しないよう配慮されています。結核患者が病室から処置室や検査室などに移動する際にも、他の患者と接触しないよう経路を確保することが欠かせません。もちろん、空気感染の疾病を抱えた患者であっても、看護師は陰圧室に入って看護ケアを行う必要があります。この際には、医療用の高性能マスクのほかゴーグルや手袋を着用し、万全の体制で感染を防ぐことが必要です。

陰圧室で使用したマスクや手袋は退室後に直ちに廃棄し、ゴーグルも消毒することが求められます。廃棄されたマスクや手袋は、容器に厳重に密封され医療廃棄物として処理されます。これは、菌やウイルスに汚染された医療用品から他の患者や医療スタッフに感染することを防ぐためです。場合によっては陰圧室にいる患者に家族を会わせることもありますが、看護師は面会に来た家族に対しても、徹底した衛生指導を行います。

接触感染のおそれがある肝炎患者の病室は、陰圧にする必要はありませんが、患者が触れる物品の扱いには細心の注意が欠かせません。食器や衣類だけでなく、病室の清掃用具も他の患者の部屋のものと共用できないのです。病室内は定期的に消毒し、特に患者の入れ替わりがある際には、入念に細部にわたって消毒を行うようにしましょう。